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股関節屈曲トレーニングの重要性とその方法(腸腰筋と大腿直筋)

股関節屈曲トレーニングの重要性とその方法(腸腰筋と大腿直筋)

 

 

走りにおける股関節屈曲筋群の重要性

 

股関節屈曲筋群とは、その名の通り股関節を屈曲する筋肉のことです。股関節の屈曲とは、いわゆる腿を挙げる動作のことを指します。

 

 

 

この腿を挙げる動作(後ろから前に引き出す動作)は、速く走るために非常に重要な働きをしています。下図のように、速く走っていると地面についている足に対して、身体が素早く前へ進んでいきます。これは言い換えると、身体に対して、足が後ろに素早く取り残される、流れていくことになります。

 

 

 

 

素早く取り残された足をそのままにしておくと、当然次の一歩を踏み出すことができなくなります。なので、足が後ろに流れっぱなしにならないように、腿を強い力で前に引きつけなければなりません。ここで働くのが股関節の屈曲筋群です。

 

 

速く走れば走るほど、相対的に高い速度で足が後ろに流れていくことになるので、その分強力な股関節屈曲筋力を発揮して、腿を引き出さなければならなくなる…だから速く走るために大切なわけです。

 

 

 

股関節屈曲筋群(腸腰筋と大腿直筋)

 

股関節の屈曲筋群として代表的な筋肉に、腸腰筋大腿直筋が挙げられます。

 

 

腸腰筋

腸腰筋は腸骨筋大腰筋という筋肉の総称です。特に大腰筋は背骨と太ももの骨を繋いでいる、つまり上半身と下半身を繋いでいる重要な筋肉です。

 

 

 

 

この大腰筋の太さと、100m走中の最大疾走速度との間には、有意な相関関係が見られています(久野ほか,2001)。この相関係数は0.912と高く、両者の強い関係性が伺えます。

 

 

 

 

 

大腿直筋

大腿直筋は、腿の前の4つの筋肉(大腿四頭筋)のうちの一つです。この大腿直筋の太さも、疾走速度との有意な相関関係が見られています(35m地点の速度)(Emaほか,2018)。

 

 

 

 

股関節屈曲筋群のトレーニング

 

以上のように、股関節屈曲筋群とスプリントパフォーマンスには、密接な関係があります。ということは、この股関節屈曲筋群の筋力トレーニングを行うことで、スプリントパフォーマンスの改善が期待できるわけです。

 

 

実際に、75%1RM程度の負荷で股関節屈曲トレーニングを週3回実施させた研究では、股関節屈曲筋力の改善とともに、スプリントタイムの改善もみられています(Deaneほか,2005)。

 

 

 

 

上の研究のように、チューブを使って行う方法もありますが、ケトルベルをつま先にぶら下げて行ったり、足首に重りを巻いて行うこともできます。トータルヒップというマシンがあれば、さらに効率よく負荷をかけてトレーニングすることができます。

 

 

・マシンヒップフレクション

 

 

・バンドウエイトヒップフレクション
マシンが無い場合は、台にあおむけになり、片膝を挙げる運動を繰り返します。足首に重りを付けるなどして負荷を調節します。つま先にケトルベルなどをぶら下げるのもアリでしょう。

 

 

 

 

・ハードルサイドステップ

 

 

 

 

参考文献

・久野譜也, 金俊東, & 衣笠竜太. (2001). 体幹深部筋である大腰筋と疾走能力との関係 (特集 スポーツにおける体幹の働き). 体育の科学, 51(6), 428-432.
・Emaほか(2018).Thigh and Psoas Major Muscularity and Its Relation to Running Mechanics in SprintersMedicine & Science in Sports & Exercise: 50(10) p 2085–2091.
・Deane, R. S., Chow, J. W., Tillman, M. D., & Fournier, K. A. (2005). Effects of hip flexor training on sprint, shuttle run, and vertical jump performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 19(3), 615-621.


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